結論
FBAでは、倉庫内での紛失・破損などによる在庫差異が発生した場合、セラー側から調査依頼(補償申請)を行う必要があるケースがあります。この申請には申請できる期限が設けられており、過去には18ヶ月が上限の目安とされてきました。Amazonは2024年10月にFBAの補償ポリシーを大幅改定し、差異の種類によって申請期限が60日・45〜105日などへ大幅に短縮されています。現時点での正確な期限・対象条件はセラーセントラルのヘルプページで確認することが不可欠です。期限を超えると申請そのものが受け付けられなくなるため、差異に気づいたら早めに動くことが重要です。
FBA在庫差異が発生する主なケース
FBAの在庫は、以下のタイミングで帳簿上の数量と実数量がずれることがあります。
- 納品時の数量不一致:セラーが送った数と、Amazonが受領として計上した数が違う
- 倉庫内での紛失:棚卸し・移動・ピッキングのプロセスで在庫が行方不明になる
- 倉庫内での破損:Amazonスタッフの取り扱いで商品が破損し、販売不能と判定される
- 返品在庫の不明:購入者から返品された商品が、在庫に戻らず消えている
これらのうち、Amazonの責任によるものについては補償請求の対象になりえます。一方、梱包不良や商品自体の問題が原因と判断された場合は対象外になることがあります。
調査依頼の期限と「18ヶ月」の意味
AmazonのFBA補償ポリシーでは、差異が発生してから一定期間を超えると申請を受け付けない、という仕組みがあります。長らく**18ヶ月(約1年半)**が実務上の基準として知られてきましたが、2024年10月23日の改定により、差異の種類ごとに申請可能期間が以下のとおり変更されました。
| 差異の種類 | 申請可能期間 |
|---|---|
| フルフィルメントセンター内での紛失・破損 | 紛失・破損の報告から 60日以内 |
| 購入者返品 | 返金・交換日から 45日後〜105日以内(45日経過前は申請不可) |
| 返送(輸送中紛失) | 納品プラン作成日から 15日後〜75日以内(15日経過前は申請不可) |
| その他の返送 | 出品者への返送から 60日以内 |
※Amazonへの納品時の数量差異(Shipment to Amazon)の期限は上記と異なる場合があります。セラーセントラルの最新ヘルプで確認してください。
また、2024年以降、フルフィルメントセンター内での紛失については、Amazonが自動的に弁済を行う仕組みが導入されています。ただし自動弁済が適用されないケースも存在するため、弁済レポートで確認し、未補償の差異は期限内に手動申請することが重要です。現在有効な期限・条件は必ずセラーセントラルの「FBA補償ポリシー」ヘルプ記事で確認してください。
確認先の目安:
- セラーセントラル(sellercentral.amazon.co.jp)にログイン後、ヘルプ検索で「FBA 補償ポリシー」または「FBA 弁済」と入力
- 「FBAの紛失・破損商品の弁済について」などのタイトルの記事が該当します
期限失効前にやるべき確認作業
在庫差異を見逃さないために、以下の確認を定期的に行うことが現場では有効です。
毎月確認すべきレポート
| レポート名(表示名は変更される場合があります) | 確認できる内容 |
|---|---|
| 在庫元帳レポート(イベントタイプ:調整) | 入庫・出庫・調整の差異の詳細(旧「在庫調整レポート」は2023年1月31日廃止) |
| 納品差異に関するレポート(セラーセントラルで現在のレポート名を確認) | 送った数量と受領数量の差 |
| 返品レポート | 返品が在庫に戻ったかどうか |
| 弁済レポート | 自動補償された内容と金額 |
レポートはセラーセントラルの「レポート」→「フルフィルメント」から取得できます(画面のメニュー名・レポートの表示名はポリシー改定や画面更新で変わることがあるため、実際の画面上で確認してください)。
申請前に準備するもの
- 納品ID:差異のある納品の識別番号
- 輸送記録:配送業者の追跡番号・送り状のコピー
- 納品書または梱包明細:何を何個送ったかを証明できる書類
- 写真(あれば):梱包状態を記録したもの
証拠がそろっているほど、Amazonの調査がスムーズに進みます。書類を手元に保管しておく期間は、差異が発生しうるすべての納品について、現行の申請期限を超えるまで維持しておくのが安全です。
よくある失敗と対処
失敗1:「Amazonが自動補償するから放置していた」
2024年以降、フルフィルメントセンター内での紛失については自動弁済の対象が拡大されましたが、すべての差異が自動対応されるわけではありません。弁済レポートと突き合わせ、補償されていない差異がないかを確認します。
失敗2:納品差異を申請したが証拠書類がなかった
Amazonは「セラーが申告した数を送った」という証拠を求めます。配送業者の重量記録や輸送証明を取得しておかないと、申請が否認されやすくなります。納品ごとに記録を残す習慣が重要です。
失敗3:返品在庫の差異を申請し忘れていた
返品は件数が多いほど差異も積み上がります。月次でまとめて確認しないと、気づいたときには期限が近づいていることがあります。特に購入者返品は返金・交換日から45日後〜105日以内と窓口が限られており、早期の確認が不可欠です。
失敗4:申請期限を誤って古い情報で把握していた
ネット上に残っている記事には、改定前の18ヶ月という期限を記載したままのものがあります。2024年10月の改定で差異の種類ごとに期限が変更されています(詳細は上の「調査依頼の期限」表を参照)。必ずセラーセントラルの最新ヘルプを参照してください。
判断の目安:申請すべきかどうか
すべての差異を申請すべきかというと、そうではありません。以下の観点で優先順位をつけると効率的です。
- 金額が大きい差異を優先:1件あたりの補償可能額が大きいものから対応する
- 原因が明確なものを優先:「この納品で○個の不足が発生した」と特定できているもの
- 期限が近い古い差異を先に処理:最近発生したものより、時間が経過したものを先に申請する
補償申請はAmazonとのやり取りが発生し、対応に時間もかかります。差異が少額で原因が不明確なものは、申請コストと見合わない場合もあります。
まとめ
FBA在庫差異の調査依頼には申請できる期限があり、2024年10月の改定以降、差異の種類ごとに申請窓口期間が大幅に短縮されています。旧来の18ヶ月という目安は現在有効ではなく、フルフィルメントセンター内での紛失・破損は報告から60日以内、購入者返品は返金・交換日から45〜105日以内など、種類によって期限が異なります。現在の期限・条件はセラーセントラルのヘルプで必ず確認してください。差異は月次でレポートを確認して早期に発見し、証拠書類をそろえたうえで期限内に申請するのが基本の対応です。古い差異が残っていると気づいた場合は、まずその処理を優先しましょう。