結論
Amazonから商標権侵害の通知を受けた場合、「自分が正規ルートで仕入れた正規品を販売している」と証明することが申し立ての目的になります。必要なのは、**正規仕入れを示す請求書(インボイス)**と、その請求書に基づいて記述した申し立て文の2点です。どちらか一方が不十分だと、内容を問わず棄却されやすいため、両方を同時に整えて提出します。
商標権侵害申告の種類と対応の違い
Amazonへの申告経路によって、対応方法が微妙に異なります。
| 申告の種類 | 申告者 | 主な対応 |
|---|---|---|
| ブランドオーナーによる直接申告 | 権利者本人またはその代理人 | 請求書+申し立て文、または申告の取り下げ依頼 |
| Amazon Brand Registryを通じた自動・手動申告 | ブランド登録済みの権利者 | 同上。取り下げてもらうとより早く解決する場合がある |
| Amazonの自動検知 | Amazon | 請求書+申し立て文で対応 |
通知メールに「申告者の名前または会社名」が記載されている場合は、権利者に直接連絡して申告の取り下げを依頼する選択肢もあります。申告が取り下げられるとプロセスが短縮されますが、ブランドが応じるかどうかは相手の判断であるため、並行して書類の準備も進めておく方が安全です。
正規品証明に必要な書類と記載要件
仕入れ先の請求書(最重要)
Amazonが求める請求書に含めるべき項目の例は以下のとおりです。ただし、具体的な要件はAmazonのポリシー改定により変わることがあります。提出前にセラーセントラルのヘルプ(sellercentral.amazon.co.jp)で最新の要件を必ず確認してください。
- 仕入れ先の情報:会社名・住所・電話番号
- 購入者の情報:自分の会社名または氏名・住所(セラーセントラルに登録している情報と一致していること)
- 購入日
- 商品名:申告を受けたASINの商品と紐づけられる記載(型番・JANコード・ブランド名など)
- 数量と金額(価格情報は黒塗りにして提出しても差し支えない場合があるが、他の項目はすべて判読可能な状態にすること)
請求書の仕入れ元は、そのブランドの正規代理店・卸問屋・メーカーである必要があります。個人間売買や転売で購入した場合、正規ルートと判断されないことがあります。また、ネットショップの注文確認メール・見積書・仮インボイス(pro forma)は請求書として認められないケースがあるため、正式な書面形式の完結したインボイスを取り寄せてください。
請求書の日付については、古すぎると証明力が低下する場合があります。有効とみなされる期間の基準はAmazonのポリシーや案件によって変わるため、セラーセントラルのヘルプで最新の要件を確認してください。
補足書類(あれば添付)
- ブランドオーナーまたは正規代理店からの販売許可書(オーソライゼーションレター)
- 自社とサプライヤーの取引契約書
- Amazonから仕入れた商品の場合は、Amazon注文IDも真贋証明として使用できる場合があります
販売許可書がある場合は、請求書と一緒に提出すると申し立ての説得力が上がります。ない場合でも請求書だけで申し立て可能なケースは多くあります。
申し立て文の構成と書き方
Amazonへの申し立て文(英語または日本語)は、短くても要点が伝わる構成にします。長文にする必要はありません。
推奨構成
自分が正規品を販売している旨の宣言
- 例:「私は〇〇(ブランド名)の正規品のみを販売しており、模倣品や改変品は一切取り扱っておりません。」
仕入れ先の明示
- 例:「当該商品は、正規代理店である〇〇株式会社(住所:〇〇)から仕入れております。」
添付書類の案内
- 例:「仕入れを証明する請求書を添付しております。請求書には商品名・数量・購入日・仕入れ先の連絡先が記載されています。」
違反申告の取り消しを求める
- 例:「上記の証拠に基づき、今回の商標権侵害申告を取り消すようお願いいたします。」
文章を書く際の注意点
- 感情的な表現(「不当な申告だ」など)は避ける。事実のみを客観的に書く
- 書類と文章の内容が矛盾しないようにする(請求書の仕入れ元と文章の仕入れ元を一致させる)
- 申告されたASINを明記する
よくある失敗と対処
失敗①:請求書の購入者名がセラーセントラルの登録情報と違う → 屋号と法人名が混在しているケースが多い。請求書の宛名を登録情報に合わせて再発行してもらうか、補足説明文を添付する。
失敗②:商品名が請求書に記載されておらず、ASINと紐づかない → 型番・JANコード・ブランド名など、ASINページと一致する情報を請求書に含める。仕入れ先に請求書の書き直しを依頼する。
失敗③:中国のサプライヤーから直接仕入れているが、正規ルートか不明 → メーカー直販であれば問題ない場合が多いが、ブランドの正規代理店を経由しているかどうかをサプライヤーに確認し、必要ならオーソライゼーションレターを取得する。
失敗④:申し立てが通ったが、同じブランドから再申告される → 申し立てが通っても、ブランドオーナーが繰り返し申告できる仕組みがあります。根本的な解決には申告の取り下げを求めるか、販売する商品・ブランドの見直しが必要になる場合があります。
申し立ての提出先と手順
通知メールに記載されたリンク、またはセラーセントラルの「アカウント健全性ダッシュボード」→「商品規約の遵守」→「知的財産に関する苦情」から該当の違反通知を開き、出品の停止レコードの横にある「申し立て」ボタンから提出します。ボタンのラベルやメニュー構成はAmazonの画面変更により変わることがあるため、通知メール内のリンクを使う方が確実です。
書類は画像形式(.jpeg / .jpg / .png / .gif / .tiff など)で添付します。日本のセラーセントラルでは、セキュリティ上の理由によりPDFが受け付けられない場合があるとの情報があります。受け付けるファイル形式やサイズ上限などの最新の仕様は、セラーセントラルの該当ヘルプページ(sellercentral.amazon.co.jp)で必ず確認してください。
まとめ
商標権侵害申告への対応は、正規仕入れを示す請求書とそれに基づいた申し立て文の2点を正確に揃えることが基本です。書類の不備が棄却の最大の原因になるため、提出前に請求書の記載項目を一つひとつ確認してから申請してください。申し立てが棄却された場合も、不足点を補ってから再提出できます。申告者であるブランドオーナーへの直接連絡による取り下げ交渉も、並行して検討する選択肢として持っておくと対応の幅が広がります。