結論
ACOS(Advertising Cost of Sales)は 広告費 ÷ 広告売上 × 100 で求めます。たとえば広告費1万円で広告経由の売上が5万円なら、ACOSは20%です。この数字が自社の粗利率を下回っていれば、広告で利益を出せている状態といえます。
ACOSの計算式と読み方
基本式
ACOS(%)= 広告費 ÷ 広告売上 × 100
「広告売上」はAmazon広告経由でのみ発生した売上を指します。オーガニック(自然検索)による売上は含みません。セラーセントラルのキャンペーンマネージャーでは、この数字が自動計算されて表示されます。
数字の読み方
| ACOS | 意味 |
|---|---|
| 20% | 売上100円を得るために広告費20円を使った |
| 50% | 売上100円を得るために広告費50円を使った |
| 100% | 広告費と広告売上が同額。利益はゼロ以下 |
ACOSは低いほど広告効率が良いと読みます。ただし「低ければよい」とは限りません。ACOSを下げすぎると広告の表示機会が減り、売上自体が落ちることがあります。
TACoSとの違い
ACOSと似た指標に TACoS(Total Advertising Cost of Sales) があります。
TACoS(%)= 広告費 ÷ 総売上(広告+オーガニック)× 100
ACOSは広告売上だけを分母にするため、オーガニック売上が多い商品ほどACOSは高く見えます。ブランド全体の広告負担を把握したいときはTACoSを使うほうが実態に近くなります。
目標ACOSの決め方
広告で利益を出すには、ACOSを**損益分岐点ACOS(BEP ACOS)**以下に抑える必要があります。
BEP ACOSの計算式
BEP ACOS(%)= 粗利率(%)
粗利率は次のように求めます。
粗利率 =(販売価格 − 原価 − Amazon手数料 − FBA手数料) ÷ 販売価格 × 100
たとえば販売価格3,000円、原価800円、Amazon手数料・FBA手数料の合計が750円の場合:
- 粗利 = 3,000 − 800 − 750 = 1,450円
- 粗利率 = 1,450 ÷ 3,000 × 100 ≒ 48%
- この商品のBEP ACOS = 48%
ACOSが48%以下なら広告費を引いても利益が残ります。48%を超えると広告出稿のたびに赤字になります。
目標ACOSを粗利率より低く設定する理由
BEP ACOSぴったりで運用すると、広告費回収後の利益はゼロです。実際には人件費や物流の変動費もあるため、現場では粗利率よりも低い値を目標ACOSの上限に設定することが多いです。どの程度の余裕を持たせるかは商品の利益構造や運用方針によって異なります。
新商品と安定商品で目標を変える考え方
| フェーズ | 目標ACOSの考え方 |
|---|---|
| 新商品・レビュー獲得期 | BEP ACOS付近か、やや高めも許容してインプレッションを稼ぐ |
| 安定運用期 | BEP ACOSを大きく下回る水準を目指す |
| 在庫消化・撤退期 | ACOSより在庫回転を優先することもある |
新商品は検索順位が低いため、ACOSが高くなりやすい状態が続きます。この段階でACOSだけを見て広告を止めると、レビュー数や順位が上がらずオーガニック売上も伸びないという状態になりやすいです。
よくある計算ミスと注意点
手数料を粗利から抜き忘れる
Amazonの販売手数料(カテゴリーによって異なります)とFBA手数料(サイズ・重量によって異なります)を原価と別に計上していないと、粗利率が実態より高く見えます。BEP ACOSを甘く見積もって広告を出し続けると赤字になります。手数料の最新の金額はセラーセントラルのFBA料金シミュレーターやヘルプで確認してください。
セット販売・バリエーションのACOSを混同する
Amazonのバリエーション商品は、クリックされた色・サイズと実際に購入されたバリエーションが異なる場合があります。価格帯が違うバリエーションが混在していると、ACOSが実態を反映しにくくなります。バリエーションごとのレポートを確認する習慣を持つと精度が上がります。
アトリビューション期間(計上期間)を理解する
Amazonのスポンサー広告は、広告クリックから一定期間内に発生した購入を広告売上として計上します(アトリビューション期間)。この期間はAmazonが広告種別ごとに定めており、ユーザーが任意に変更できるものではありません。比較するレポートの集計期間がずれているとACOSの数字が食い違うことがあるため、参照しているレポートの集計期間が揃っているか確認してください。アトリビューション期間の詳細はセラーセントラルのヘルプ記事を参照してください。
ACOSを実務で使うときの判断フロー
- 粗利率を正確に計算する(手数料込みで)
- BEP ACOSを求める(=粗利率)
- 目標ACOSを設定する(BEP ACOSより低い値)
- キャンペーンマネージャーで実績ACOSを確認する
- 実績が目標を超えていればキーワードや入札を見直す
ACOSは「良し悪しを判断するための出発点」です。ACOSが高いと分かったら、次に「どのキーワードが引き上げているか」「クリック単価が高すぎるか」「CVRが低すぎるか」を掘り下げることで、具体的な改善箇所が見えてきます。
まとめ
- ACOSは 広告費 ÷ 広告売上 × 100 で求める
- 利益が出るかどうかは BEP ACOS(=粗利率) と比較して判断する
- 粗利率の計算にはAmazon手数料・FBA手数料を必ず含める
- 新商品と安定商品では目標ACOSの水準を変えて考える
- ACOSだけで判断せず、TACoSやCVR(転換率)と合わせて見ると実態に近い評価ができる